BCPにおける企業の安否確認の方法と具体的な手順、おすすめの安否確認システム

2023.04.12

安否確認を行うビジネスパーソン

自然災害や事故、感染症などが発生した際、企業はまず従業員の安否確認を行う必要があります。損害を抑えて事業を継続するには、誰が無事で、誰が出勤できるのか、従業員の安否を迅速に把握することが欠かせません。本記事では、安否確認の基本的な方法や手順に加え、企業が安否確認に活用できるおすすめツールも紹介します。

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企業が安否確認を行うべき理由

災害時に安否確認を行って人材を守る手

企業における安否確認とは、地震や台風、火災などの災害や、感染症の発生時に、自社の従業員の安全と健康が確保されているか確認することを意味します。企業が安否確認を行う必要性としては、主に「事業継続をするため」と「従業員の安全配慮義務を果たすため」という2つの目的があります。

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事業継続のため

安否確認の実施は、緊急時にもスムーズに事業を継続・再開するために必要です。まず誰が無事なのかを把握しないと、事業運営に必要な人員を確保できるか判断することが難しくなります。
他の事業所から追加の人員を配備するにしても、どこの事業所にどれだけ人材が不足しているのか可視化されていなければ、効率的な人員配置も困難でしょう。そのため、迅速に安否確認ができることは、災害時の復旧計画をスムーズに進めるうえで必要不可欠です。

BCP(事業継続計画)とは

BCPとは「Business Continuity Plan」の略称で、日本語では事業継続計画と訳されます。BCPにおいては、自然災害はもちろん、金融危機やシステムトラブルなど、事業の継続が困難になるような事態が生じた際にどのような対応を取るべきなのか、包括的な計画を検討します。また、これらを管理することをBCM(事業継続マネジメント)といいます。

BCPの具体的な施策は事業規模や事業内容によって左右されますが、従業員の健康や安全に関わるような緊急事態をBCPにおいて想定するのならば、安否確認の方法は必須項目として含まれることになるでしょう。

安否確認は緊急時に行うことですが、災害が生じてから初めてその方法を考えるのでは混乱が長引くばかりです。そのため、緊急時に安否確認をどのように行うかは、平時のうちから「BCP対策」の一環として検討しておく必要があります。

従業員の安全を配慮する義務があるため

コンプライアンス(法令遵守)の観点からも、緊急時に従業員の安否確認ができる体制構築は重要です。労働契約法の第5条においては、企業が自社の労働者に対して果たすべき義務として次のように明記されています。

<労働契約法 第5条>
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
(参考)e-gov法令検索 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第一章 第五条

これを一般に「安全配慮義務」といいます。安全配慮義務を果たすためには、各従業員の健康状態や、置かれている状況について正確に把握することが欠かせません。
たとえば、従業員やその家族が感染症にかかっているにも関わらず出社を強制したら、本人はもちろん、同じ職場の従業員全体の健康を脅かすことになります。あるいは、地震などの災害時に無理して出社させようとすれば、余震や火災などの二次災害に従業員が巻き込まれてしまう恐れもあります。

日頃から従業員やその家族の健康や安全に配慮している企業であれば、従業員も安心して働くことができるでしょう。

安否確認の具体的な手順

災害発生時に安否確認を行う企業の管理者

緊急時に従業員の安否確認を行う際には、基本的に次のような手順で作業を進めます。

(1)自身と周囲の安全確保

企業が従業員の安否確認を行う以前に、まずは管理者自身やその場の従業員の安全確保を行うことが重要です。たとえば、地震の発生時に倒壊の危険などがある場所に忘れ物を取りに行かせるなどの行為は避けましょう。今目の前にいる従業員の安全確保は非常に大切です。

(2)安否確認をする

次のステップは安否確認の実施です。後述するように安否確認方法は電話やメールなどさまざまな連絡手段が考えられますが、それらいろいろな手段を使って各従業員に連絡を実施します。緊急時は管理者も従業員も、混乱することが予想されます。必要な連絡手段や確認事項、実施する管理者などはあらかじめ決めておくことが大切です。もちろん、管理者も被災者となり得るため一人に決めず複数人で対応できるような仕組みもあるといいでしょう。

具体的な確認事項としては、たとえば「本人の状態」「家族の状態」「出社の可否」などが考えられます。従業員が出社できるか否かは本人だけでなく、その家族の状況によっても左右されるので、確認事項に含んでおくのがおすすめです。

(3)安否確認の集計と分析

安否確認をした後、従業員の被害状況の把握や今後の事業継続の経営的判断に活かすために、部署ごとなどで従業員が回答した安否状況を集計・分析します。マネジメント層はそのデータを基に、事業再開の計画や各従業員への指示内容などを検討します。検討の際は、オフィスや従業員の状態だけでなく、交通機関が機能しているかどうか、二次災害が発生する恐れはないかなど、多角的に考えることが重要です。各従業員の自宅の状況などにも配慮しましょう。

(4)各従業員への指示

安否を確認した結果をもとに会社としての方針を決定したら、その内容を各従業員へ連絡します。従業員が無理に出社して被害に巻き込まれることのないよう、指示内容は慎重に決めましょう。

安否確認の方法とそれぞれのデメリット

安否確認に活用できるコミュニケーションツール

従業員の安否確認を行うためには、事前に連絡方法を決めておくことが大切です。安否確認に使えるコミュニケーションツールは、一般によく扱われるものとして、電話やメール、SNS、ビジネスチャットなどが挙げられます。

電話での安否確認

電話は最もポピュラーで早い安否確認方法ですが、注意が必要です。災害時にはプライベートで家族や知人の安否を確認するために、さまざまな人が固定電話や携帯電話から発信します。そのため発信回数が大幅に膨れ上がり、通信回線が混雑し処理することができなくなる状況になりやすいでしょう。

仮に、電話がつながる状況であっても、緊急時で慌ただしい場合は従業員が電話を取れないことも想定されるでしょう。多数の従業員がいる場合、一人ひとりと口頭でやりとりを行って安否状況の確認する必要があり、情報をメモしたり集約したりといった手間も他の方法より煩雑です。

メール・SNSでの安否確認

複数の従業員に一斉送信できる点で、メールやSNSは電話より効率的な方法です。あらかじめテンプレートを作成しておくことで、確認事項の漏れなども減らせるでしょう。ただし、安否状況を集約する作業においては、メールやメッセージを個別に確認して集計していかなければならないため、それなりに手間がかかります。SNSの場合、個人用のアカウントを会社に共有することに抵抗感を持つ従業員もいるでしょう。

ビジネスチャットでの安否確認

複数の従業員へ一斉に連絡を取る方法としては、ビジネスチャットも挙げられます。電話やメールと比べて、チャットはグループでリアルタイムに情報をやりとりできるのがメリットです。また、チャットの種類によってはタスク管理機能が付いているものもあり、集計作業が効率化できる場合もあります。ただし従業員がチャットに不慣れな場合であったり、緊急時のルールが未整備であったりすると、情報が錯綜するなどして安否確認がかえって混乱する恐れもあります。

各安否確認方法に共通するデメリット

どのツールにも共通する欠点は、基本的に管理者自身が連絡業務を行う必要があるということです。地震などの大規模な災害が起きた際には、安否確認をすべき管理者自身が被災によって連絡手段を失うこともあります。そうなれば、安否確認作業がそもそも開始できず、その後の動き全体が遅くなることも懸念されます。

安否確認システムとは

安否確認のためにクラウドシステムを操作する人

上記のように、電話やメール、SNS、ビジネスチャットなどの一般的なコミュニケーションツールは緊急時の安否確認の方法としては力不足な面があります。これに対しておすすめの方法が、「安否確認システム」を導入することです。

安否確認システムとは、緊急時において従業員やその家族の安否確認を自動化・効率化するためのサービスです。機能の詳細は製品によって異なりますが、安否確認連絡の自動配信・一斉送信のほか、回答の自動集計、未回答者に対する自動再配信などが基本的な機能として挙げられます。集計においては、事業所ごと、部署ごとなどに回答結果を自動で取りまとめることもできます。

このように、安否確認システムは一般的なコミュニケーションツールと比較して、安否確認作業を迅速かつ効率的に実施可能です。

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安否確認システム導入のメリット

安否確認システムを導入する主なメリットを紹介します。

メリット1.従業員への連絡を一斉に配信できる

第1のメリットは、安否確認連絡を一斉に配信できることです。
安否確認システムのサービスから、安否登録の依頼を一斉送信することができます。連絡を受けた従業員たちはシステムにアクセスして自分や家族の安否状況を登録します。

先述したように、地震などの大規模な災害が発生した際には、安否確認の担当者自身が被災している状況も想定されます。そのため、人が動かなくても(人が介在しなくても)システムで自動配信され、素早く安否確認連絡を行えるのは大きなメリットです。

メリット2.複数の手段で安否確認が行える

第2のメリットは、複数の手段で安否確認が行えることです。
企業から一斉配信で行う安否確認は、メール配信やスマートフォンアプリ通知など、複数の連絡手段で配信することが可能です。連絡を受けた従業員たちは、PCやスマートフォン、携帯電話などから可能な方法でシステムにアクセスし、安否状況の連絡をすることができます。
一つの方法に縛られず、可能な方法で対応できるのは大きなメリットの一つでしょう。

メリット3.安否確認の情報を自動で集約できる

第3のメリットは、安否確認の情報を自動で集約できることです。
会社や従業員の状況を分かりやすく把握するためには、事業所・部門ごとに安否状況を集約することが有効ですが、それを手作業で行うのは非常に煩雑です。その点、安否確認システムならば、各種の情報を自動で迅速かつ正確に集約可能です。

また、集計作業を自動化することは、従業員の個人情報保護の観点からも重要です。たとえば緊急時の連絡網などを作成して手作業で連絡業務を行う場合、従業員のプライベートの連絡先や家族構成などの個人情報が管理者以外にも漏洩してしまう恐れがあります。その点、安否確認システムならば、システム上で人の手を介さずに情報の収集・管理を行うため、従業員の個人情報が漏洩するリスクを減らすことが可能です。

安否確認システムを選ぶポイント

安否確認システムのチェック項目を確認するビジネスパーソン

安否確認システムには、さまざまな製品があります。以下のポイントを意識して自社に適したシステムを選びましょう。

会社に合った費用・機能を明確にしておく

災害に対する備えは長期的に継続していく必要があるため、自社がシステムにかけられる予算や、必要な機能を明確にしておきましょう。自社にとって必要な機能を明確にしておくことは、使い勝手の面だけでなく、自社の求める以上の製品を導入して無駄なコストを発生させないためにも欠かせないポイントでしょう。

機能をチェックする

安否確認システムの機能は、テキストだけでなく音声通話でも安否確認ができるもの、画像や映像などで現場の状況を確認できるものなどさまざまです。予算や要件と照らし合わせて、各製品の機能をチェックしましょう。

システムの更新頻度(バージョンアップ)を確認する

安否確認システムは、周囲の環境変化に対応できるかどうかも重要です。社会情勢の変化は目まぐるしく、情報技術も日々進化しています。新型コロナウイルスのように新しい感染症が発見されることもあれば、災害の種類や発生場所が変わることで従来の対応策が通じない可能性もあります。

ここで確認しておきたいことはシステムのバージョンアップが定期的に行われているか?です。自社が安否確認をすべき事象(災害や感染症など)の何をリスクと捉えているのか、従業員のどんな情報を得てどんな対策をするのかなどのさまざまなニーズに対応できるように、定期的に機能が改善されているかを確認しておくと安心でしょう。

使いやすさも事前に調べる

管理者や従業員にとって使いやすいかも重要な判断材料です。特に安否確認システムは、緊急時の余裕のない場面で利用することが想定されているシステムなので、誰にとっても使いやすくわかりやすい操作方法であることも、大きなポイントです。

安否確認システムを導入する際の注意点

注意点(caution)を示すボードを持った作業員と注意マーク

安否確認システムを効果的に活用するためには、以下の点に注意することが必要です。

安否確認システム以外で連絡できないようにする

安否確認システムを導入したら、安否状況の報告は安否確認システムへの登録に集約しましょう。システム外の複数の連絡方法を用いることは非効率であるばかりでなく、情報の食い違いといった混乱を招きます。
他の連絡方法を用意するにしても、それは万が一、安否確認システムが使用不能になった場合の予備手段に留めておきましょう。

導入にあたって事前研修や日常的な訓練をしておく

自社に最適な安否確認システムを導入できたとしても、災害が起きたときに初めて使用すると、管理者も従業員も混乱してしまいます。そのため安否確認システムを導入したら、使い方や非常時の動き方などについて、定期的に研修や訓練を行うことが重要です。システムの使い方についてマニュアルなどを整備しておくことも必要になるでしょう。

おすすめの安否確認システム

緊急時の対策を検討する企業の担当者

緊急時の安否確認に役立つ具体的な安否確認システムとしては、「Biz安否確認/一斉通報」がおすすめです。
「Biz安否確認/一斉通報」では、状況に応じた豊富なテンプレートを使って、従業員への緊急連絡や健康状態の確認などをスムーズに実施できます。定期連絡にも対応しているので、感染症対策で長期的に健康確認が必要な場合にも有効です。

以下で紹介するように、ドコモビジネスオンラインショップで取り扱っている「Biz安否確認/一斉通報」では「通常プラン」「スマホプラン」「通常プラン」の3つのプランが提供されているので、自社のニーズに合わせてチェックしてみてください。

Biz安否確認/一斉通報 通常プラン

Biz安否確認/一斉通報 通常プラン

「Biz安否確認/一斉通報 通常プラン」は、Biz安否確認/一斉通報のすべての機能をお使いいただけるプランです。
地震発生時に安否確認を自動配信・集計します。管理者の手間を取らせず、全国規模の大規模災害発生時にも安心してご利用いただけます。未回答者への自動再送など管理者の負担軽減機能があります。地震以外でも任意の文面で一斉通知やアンケートが可能です。
24時間365日、管理者を電話/メールでサポートします。

Biz安否確認/一斉通報 スマホプラン

Biz安否確認/一斉通報 スマホプラン

「Biz安否確認/一斉通報 スマホプラン」は、地震など災害発生時の従業員の安否状況を、専用スマホアプリ(無料)/Webで簡単に確認・集計できます。

震度5強以上の地震発生時、発生地域に発信対象者がいる場合に自動でシステムから安否確認を配信します。
24時間365日、管理者を電話/メールでサポートします。

Biz安否確認/一斉通報 ライトプラン

Biz安否確認/一斉通報 ライトプラン

「Biz安否確認/一斉通報 ライトプラン」は、「通常プラン」から初動サポート機能などを簡略化し、より安価な料金で利用できるプランです。地震発生時の自動発信機能はありませんが、手動での一斉通報は行えます。1,000IDまでを月額10,000円(税込11,000円)で利用できるコストパフォーマンスが高いプランです。

「ライトプラン」も「通常プラン」と同一の運用基盤で構築されているため、台風や感染症などの「日常型災害」における安否確認には十分に対応可能です。「ライトプラン」は初期費用も不要なので、お気軽にお申し込みいただけます。

まとめ

非常時に従業員の安否確認をスムーズに行える体制を構築することは、災害に強い企業になるために必要不可欠です。地震などの大規模な混乱が予想される災害発生時においては、手作業に頼った一般的なコミュニケーションツールだと安否確認が機能しなくなる恐れがあります。

「安否確認システム」を利用すれば、従業員への連絡をスムーズに行うことができ、情報の集約などの作業も自動化できます。信頼性の高い安否確認システムをお探しなら、「Biz安否確認/一斉通報」サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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