「営業部門のDX化=オンライン会議導入」だけではない

2022.12.19

営業部門における人手不足を解消するためには、従来の業務プロセスをDX化し、スキルやノウハウの属人化を防ぐ必要があります。どんなサービスを選ぶのが良いのでしょうか?

労働人口の減少による人手不足をどう乗り切る?

少子高齢化が進む日本では、これから労働人口が徐々に減っていくことが予想されます。労働人口の減少は人手不足にもつながり、経済規模の縮小や国際競争力の低下も招く恐れがあります。

こうした労働人口減少の問題を打開する手段のひとつに、「働き方改革」があります。従来の働き方を効率化すれば、たとえ働き手が減ったとしても、短時間で仕事をこなすことが可能になります。

特に「営業」の仕事は、デジタル化をすることで、大幅な業務の効率化が期待できます。たとえばオンラインで商談を行ったり、ネット上でさまざまな資料をやり取りすることで、自社の営業スタッフがわざわざ顧客のもとへ足を運ぶ手間を省くことが可能です。

中途半端にツールだけを導入すると逆効果になりかねない

ただし、営業DXは、中途半端な形で進めると、情報やノウハウ、スキルの共有という点でマイナスに作用する恐れがあります。

営業をデジタル化するということは、オフィスだけでなく、自宅や外出先からも営業活動ができることにあります。営業スタッフがオフィスに出社する機会が減るということは、営業スタッフが顔を合わせる機会も少なくなり、結果的にオフィスでスタッフ同士が情報やノウハウをやり取りすることも簡単ではなくなります。

また営業の業務は、担当スタッフが個人の裁量で顧客にアプローチできる側面があるため、属人化しやすい傾向があります。デジタル化が進むことで、スキルやノウハウにさらに個人差が出てくることが懸念されます。

そもそも営業DXを進めるためには、オンライン会議などのデジタルツールを導入するだけでは不十分です。ビジネスプロセスそのものや業務プロセス、ひいては組織文化や習慣などの変革も行わなければなりません。しかし、すべてをいきなり変えることは難しいため、ポイントを絞った変革とツールの活用を検討していく必要があるでしょう。

営業をDX化するツールはすでに世に送り出されている

営業の業務効率化を推進する「営業DXツール」には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか? 営業で起こりがちな課題とともに紹介します。

(1)出社しなくても高機能のオンライン商談が可能

働き方改革により、営業担当者や顧客先の担当者が、オフィス以外の場所で勤務をしているケースがあります。双方ともに場所にとらわれない働き方をしているときには、オンライン商談を手軽に行えるオンライン商談ツールが便利です。一般的なWeb会議システムにはない、商談をサポートする機能を備えたツールも存在します。

(2)担当者が個別に保有する顧客データをチームで一元化

それぞれの営業スタッフの営業状況や、スタッフが持つ顧客データの管理を、事務のスタッフや上司が記憶することは困難です。そこで、商談状況や名刺管理をデジタルでまとめて管理するツールとして商談・名刺管理ツールがあります。属人化しがちな営業活動を見える化することで、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。

(3)社内・社外のコミュニケーションをビジネスチャットで円滑に

Web会議は相手と離れていても会議ができる点は便利ですが、週に何度も開催していては、却って時間の無駄遣いになる恐れがあります。そんな時は、企業向けビジネスチャットを使うことで、気軽に相手と情報共有が行えます。

営業DXを推進するために注意が必要なこと

このように、営業DXツールは営業の仕事の効率化に貢献する可能性を秘めていますが、推進する上で注意すべき点もあります。

まず1つ目は、せっかくツールを導入しても、操作や入力項目が複雑なためスタッフがうまく活用できず、社内に浸透しないケースです。ツールを選ぶ際は、実際に使う営業担当者の目線で作られたものを選ぶことが大切です。

なるべくシンプルなつくりで操作も簡単、サポートデスクサービスが充実しているツールが望ましいと言えるでしょう。多忙な営業担当者にも使い方が覚えやすく、利用することでメリットを感じられるツールが理想的です。

2つ目は、導入に高額な初期費用がかかる場合もあることです。ツールの中には、導入時に初期費用が多くかかったり、初期費用は割安な一方でランニングコストが高額だったり、使用しすぎるとそのぶん請求額も増えることもあります。料金が変動しない定額制のサービスも多くありますので、検討候補に入れるとよいでしょう。場合によっては、国や自治体のIT導入に関する補助金制度が利用できるケースもあります。

少子高齢化による労働力の減少は、企業にとっては憂慮すべき事態ではありますが、一方でDXを推進するチャンスともいえます。他の企業が手をこまねいている間に、自社のビジネスをDXすることで、意外とうまく乗り越えられるかもしれません。

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